経済財政諮問会議の民間議員は、バブル崩壊後の「就職氷河期」に正規社員として就職できず、いまだ非正規社員として不安定な就労環境にある30代半ば~40代半ばの人を対象に、安倍総理大臣は本格的な支援策を講じる考えを示しました。
最近この「就職氷河期」という言葉をよく聞くことが多くなりました。
就職氷河期は約20年前のことなのになぜ今問題になっているのでしょうか?
この「就職氷河期」世代の問題は10年後、20年後の日本の未来を大きく揺さぶることになるからです。
就職氷河期とは?バブルの終演と共に経済の低迷期で起きた惨劇
日本の好景気時代「バブル」崩壊後、1993年から2005年の約10年間、有効求人倍率が1%を切る時代がありました。
経済状況が極端に悪化し、企業が極端に採用枠を減らした結果、1つの採用枠に100人200人が応募するという異常な就職難が起こったのです。
この時期に就職する世代は1971年から1983年生まれのいわゆる団塊ジュニア世代。
人口も多く、多くの学生が正社員として就職できず、派遣やフリーターに流れていきました。
正規写真として就職したくてもできなかったのです。
就職できてもブラック企業
運よく就職できたとしても、セクハラパワハラ当たり前、サービス残業に低賃金、やがて精神を病んで退職するということも多かったです。
このころにひきこもりば激増しました。ひきこもってしまい、親の収入で暮らすパラサイトシングルという言葉も聞かれました。
派遣法の改正
またこの時期に行われた労働者派遣法の改正が非正規労働へ拍車をかけます。
この法改正は一時的には失業率を減らして企業・労働者の双方に利益がありますが、
現状を見ると様々な問題を生む悪法となりました。
さらに追い打ちをかけるリーマンショック
まだ第二新卒という言葉はなかった時代で、非正規から正規へ転職してがんばろうとしている20代に景気悪化。
派遣やバイトを掛け持ちしても収入が安定しないので、働いても働いても貧困という「ワーキングプア」と言う言葉が生まれました。
本当に呪われた世代と言ってもいいくらいの不遇です。
就職氷河期を見捨てて20年
政府は就職氷河期を見て見ぬふりをし、非正規で働かせ続け、なんの対策もせず自己責任という言葉を就職氷河期世代に押し付けてほったらかしていたツケがまわってきます。
この就職氷河期問題が日本経済を揺るがす大問題となることにやっとやっと気づいたようです。
氷河期世代の問題
10年後、20年後の生活保護費爆増
今就職氷河期世代が40代になります。
だんだんと体力が落ち、あと10年20年もすれば即戦力・体力勝負の非正規社員の転職も難しくなってくるでしょう。
正社員なら定年まで安定して会社が面倒を見てくれますが、社会保障もままならない不安定な雇用で働いてきた非正規社員は独身も多く、貯蓄も少ないです。
職を失って生活ができなくなったら当然生活保護を需給するようになります。
非正規・無業者の生活保護予備軍は147万人と言われています。
生活保護費30兆円増だと推測されます。もっとかもしれません。
2019年度の国家予算が101兆4564億円です。非常に危機的状況が分かりますよね?
小子化問題
今になって小子化、小子化と言われますが、この団塊ジュニアで人口の多い就職氷河期世代のフォローをしっかりしていたらはたしてこんな深刻な少子化になっていたでしょうか?
結婚・出産適齢期である20代30代前半では男性も女性も貧困で結婚する余裕がなく、余裕が出てきた30代後半では結婚も出産も逃してしまうという人がこの世代が多いです。40代になっても非正規の方もたくさんいます。
さらに現在は産休・育休が充実していて妊娠・出産してもしっかり働く女性が当たり前ですが、就職氷河期世代の女性は結婚したら退職がまだ普通の時代でした。40代の女性がすっぽりいない、または派遣やパート労働者という非正規雇用の企業が多いです。
人手不足の企業への就職促進
政府は人手不足の企業への就職を促進したいと考えていますが、人手不足の業種といえば要はみんなが働きたくない業種、例えば介護、飲食、土木関係など。
どれも重労働で体力勝負で精神的にも負担が多い職種です。適性だってあります。誰でもできる仕事ではありません。
長年の非正規社員生活をしてきた体力も気力も落ち始めている40代の就職氷河期世代に不人気職種をあてがって解決するとでも思っているのでしょうか?
甘いと思います。
なにもかもが遅すぎる
なにもかも遅すぎます。
政府と企業に都合のいいように働かされ続け、何の対策もされなかった就職氷河期世代の問題は、近い将来とても大きなものとなります。
「わたしはその世代じゃなくてよかった!」と他人事だと思っているあなた。
就職氷河期世代もあなたも同じ国にいます。就職氷河期世代のツケはあなたやあなたの子ども世代にもふりかかってくるでしょう。
就職氷河期世代の惨劇は、他の世代も道連れにして日本経済の破綻へ導くことになります。
そんな最悪な事態にならないように日本政府にはなんとかしてほしいものです。